少数株主とは?少数株主が知っておくべき権利と保有リスク

更新日:2022年2月22日 非上場株式
河合弘之

監修弁護士
河合 弘之

少数株主とは?少数株主が知っておくべき権利と保有リスク

重要な意思決定ができるほどの影響力はないものの、一定割合の株式保有に応じたさまざまな権利を有する「少数株主」。

しかし実態は大株主が経営を支配し、株主平等の原則に沿った適正なメリットを享受できていないケースも多く見受けられます。そこで今回は、少数株主の権利と非上場株式を保有し続けるリスクについて解説します。

1. 少数株主とは

ここでの少数株主とは、「一定以上の株式を保有している株主」として説明を進めます。
少数株主は保有する株式に応じて、「株主提案権」や「株主総会招集請求権」「会計帳簿閲覧権」「取締役等の解任請求権」などの権利が認められています。これらを「少数株主権」と言います。

「少数株主権」の内容および要件は以下の通りです。

議決権数・株式数の要件 保有期間の要件
総株主の議決権の1%以上または300個以上 行使前6か月 取締役会設置会社株主の議題提案権、議案の要領記載請求権(会社法303条・305条)
総株主の議決権の1%以上 行使前6か月 総会検査役選任請求権(会社法306条)
総株主の議決権の3%以上または発行済株式総数の3%以上 要件なし 会計帳簿閲覧請求権(会社法433条)、検査役選任請求権(会社法358条)
総株主の議決権の3%以上 要件なし 役員等の責任免除に対する異議権(会社法426条7項)
総株主の議決権3%以上または発行済株式総数の3%以上 行使前6か月 役員・清算人解任の訴えの提起権(会社法854条・479条)
総株主の議決権の3%以上 行使前6か月 株主総会招集権(会社法297条)
総株主の議決権の10%以上または発行済株式総数の 要件なし 解散請求権(会社法833条)
10%以上

※非公開会社では保有期間の要件は不要

2. 1株の保有でも少数株主としての権利行使は可能

一定割合以上の株式の保有が必要な「少数株主権」に対して、1株でも株式を保有していれば行使できる権利を「単独株主権」と言います。株主の権利を守るため、株式の保有数・期間に関係なく行使することが認められている権利です。具体的には「議決権」「株主代表訴訟提起権」などが挙げられます。

3. 少数株主権を知ることのメリット

少数株主権は、多数派の支配株主の濫用的な権利行使を防止し、少数株主の利益を保護するために認められている権利です。

そのため少数株主が行使できる権利を知っておくことで、会社から不当な扱いを受けたり、利益を損なわれたりした場合にも一方的に不利な立場に追い込まれず、適切な対応をとることができるでしょう。

しかし、実情として少数株の保有者は、かつての創業者の子孫であったり、かつての役員として働いていたが現在縁遠くなっているだけであったり、かねてよりの人間関係があるがゆえに適切な行動を妨げているケースが多々見受けられます。「会社に遠慮していた」「適切なアクションをどう起してよいかわからなかった」「過去の嫌な思いから考えることを避けていた」…。理由はさまざまですが、気がついたら現状のどうしようもない状況に追いつめられてしまっていたという方が非常に多いのです!

4. 非上場会社の少数株主であり続けるリスクとは

ここでは非上場会社の少数株主であることのリスクについて解説します。

4-1. 少数株主のための経営が行われない

非上場会社のなかには、支配株主と経営者が一致していることが多く、その場合、一部の経営支配株主が独裁的に経営を行なっているケースが少なくありません。経営支配株主は少数株主の利益のために経営を行うという意識が薄く、少数株主に対しての配慮が欠ける傾向にあります。そうであっても彼らの不当な行為に対して少数株主側は改善のしようがないことが多々あるというのが問題なのです。

4-2. 利益の多くは役員報酬や退職金に利用され配当を受け取れない

上記のように、経営支配株主が独裁的に経営している非上場会社では、会社の利益が主に役員報酬や退職金に充てられることがあります。そのため少数株主への利益還元が正当に行われないケースも少なくないでしょう

4-3. 内部留保が積み上がり、多額の相続税が課税される可能性

いざというときに備えて内部留保を積み上げておいた場合、相続の段階で問題になるのが相続税の支払いです。

内部留保が積み上がり、株式評価額が高額になっている場合は、自社株式の相続税評価額も高額になります。ただでさえ非上場株式は買い手がつきにくく現金化が難しいため、相続税の納税が難しくなるケースも決して他人事ではないのです。

4-4. 株式を売ることが非常に難しい

非上場株式には市場がないため、そもそも売却する場がありません。さらに市場価値が安定しないため、買い手側との交渉が難しく、売り手側が不利な展開を余儀なくされることが多いでしょう。買い手が見つかったとしても、株式譲渡(売却)に制限がかけられているため、発行会社の同意が求められます。

5. まとめ

少数株主には多くの権利が認められてはいるものの、実質的には不利な立場を受け入れざるを得ず、悔しい思いのまま何のアクションもとられていない方が多いのが実情です。さらに配当金を適正に受け取れなかったり、相続時には大きな経済的負担を負ったり、非上場会社の少数株主であり続けることにはリスクが伴います。売却する場合にも買い手の見つけ方、価格交渉、発行会社との折衷など一筋縄にはいかず、専門家のサポートなしでは非常に困難でしょう。

さくら共同法律事務所では非上場株式を保有する株主へのサポートを行なっております。相談は随時受け付けておりますので、ぜひお気軽に専門家への相談をご検討ください。

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様々な難事件、大事件への対処を得意としており、強大な敵や困難にも立ち向かい成果を挙げ続けた実績のある「逆襲弁護士」です。

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