うかうかしてると排除されてしまう!締め出し!スクィーズアウトに要注意!!

更新日:2022年2月20日 同族会社, 株式売却
河合弘之

監修弁護士
河合 弘之

うかうかしてると排除されてしまう!締め出し!スクィーズアウトに要注意!!

少数株主の排除を目的に行われる「スクイーズ・アウト」。大株主の意向のみを反映して行われるため、少数株主にとって著しく不利な条件になっていることも多く、裁判に発展するケースも少なくありません。

この記事ではスクイーズ・アウトの目的をはじめ不当なスクイーズ・アウトが行われた場合の対抗策もご紹介します。

1. スクイーズ・アウトとは

スクイーズ・アウトとは、少数株主から同意を得ることなく、支配株主が強制的にすべての株式を取得することです。

例えば、近い将来、会社の売却を検討している大株主の経営者の頭の中を想像してみましょう。通常売手となる大株主の経営陣は、少数株主から同意を得て、その株式を買い集めます。株数がまとまっているほうが、将来の売却を有利に進めることができるためです。しかし譲渡に同意しない株主がいる場合には、スクイーズ・アウトによって、計画的かつ強引に株を買い進めることがあります。

2. なぜスクイーズ・アウトが行われるのか

企業がスクイーズ・アウトを行う目的を解説します。

2-1. 経営の邪魔をされず迅速な意思決定をしたいから

意思決定をスムーズに行うためには、多くの議決権を獲得して、支配権を強める必要があります。

例えば、議決権の過半数を有していれば余剰金の処分や取締役の選任・解任といった決議を扱う「普通決議」において意思決定が可能です。さらに議決権の2/3を超えると、定款の変更、事業譲渡・解散、株式併合など、より慎重な判断を要する「特別決議」においても重要な意思決定が行えます。

100%の持分を得ることで、すべての意思決定を自由に行えるため、スクイーズ・アウトによって経営権の完全支配を目指すという思惑があります。

2-2. 少数株主等を締め出し完全子会社化したいから

グループ企業ではない企業を完全子会社化する際、相手企業の株主全員から同意を得ることは容易なことではありません。

そのためスクイーズ・アウトの手法を用いて少数株主を締め出す組織再編の手法(株式交換など)が行われることがあります。

なおスクイーズ・アウトにより完全子会社する場合、適格要件を満たしていれば時価評価課税が課されません。

2-3. 相続等で分散した株式を集めたいから

少数株主をそのままにしておくと、相続により株主が分散するリスクがあります。売却時に少数株主の同意を得ることが非常に難しくなり、売却の大きな足かせとなるでしょう。

そのためスクイーズ・アウトにより分散した株式を集めるケースもあります。

2-4. 将来の会社売却、解散・清算に向けて下準備を始めているから

スクイーズ・アウトによって持株比率を増やしておけば、M&Aで会社を売却できたときに自らの懐に入ってくる比率が増えます。会社がどこにも売却できずに、解散や清算をした時にも同じことが言えます。最近、分散した少数株式を安く買い集め、【役員】持ち株会に集約させている例をいくつか目にしました。後継者難で、創業家ではなくプロパーの従業員が役員に昇格し、経営を掌握するようになると、このような発想になるのかもしれませんが…。創業家ご親族に代々広く分散した株を安値で買いあげ、役員持ち株会に集約させ、自らの退職に備える。用意周到で狡猾ではありませんか? 何代目かの創業ファミリーの一員で、かつて役員だったが追い出されてしまい、何年かたって気がついたら「すっかりこうなってしまっていた!」という方々が続々と相談に来られています。やりきれない無念な気持ち…、察するに余りあります。

3. スクイーズ・アウトへの対抗策!

スクイーズ・アウトを代表とする会社からの少数株主締め出し戦略に対して、対抗策がないわけではありません。ただし、いずれも限られた局面で、漏れのない法的な手続きを行うことが必須です。

■株式併合に対する反対の意思表示、株式買取請求
■事業譲渡、重要子会社の株式売却に際する反対の意思表示、株式買取請求
■合併・会社分割・株式交換が行われる際の反対の意思表示、株式買取請求
■株式譲渡制限を付す定款変更に際して、反対の意思表示と株式買取請求

上記は代表的なイベントですが、いずれも専門家でないと「どのようなことが成されるのか?」「どのタイミングで反対の意思表示をするのか?」「株式の買取請求を果たしてどのように行うのか?」、さっぱりわからないのではないかと思います。

4. まとめ

経営陣、支配株主の思惑から、少数株主はスクイーズ・アウトによって締め出されてしまうことがあります。このように会社や多数派株主とのトラブルに巻き込まれ、対応に困っている場合は、手遅れになる前に専門家に相談することが重要です。

さくら共同法律事務所は少数株主への豊富なサポート実績を生かし、これまでさまざまな案件に携わってきました。相談は随時受け付けておりますので、ぜひお気軽に専門家への相談をご検討ください。

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この記事の監修者

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河合 弘之

様々な難事件、大事件への対処を得意としており、強大な敵や困難にも立ち向かい成果を挙げ続けた実績のある「逆襲弁護士」です。

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