少数株主が権利を守るための弁護士の重要性
監修弁護士
河合 弘之
少数株主には「少数株主権」という一定の権利が認められます。
また会社やそれ以外の第三者に対し、株式の買い取り交渉を持ちかけることも可能です。
ただ株主が自分ひとりで少数株主権を適切に行使したり会社との間で有利に買取交渉を進めたりするのは、簡単ではありません。
効果的に権利を行使したいなら、弁護士に相談・依頼するのが無難です。
今回は少数株主が権利を守るための弁護士の重要性についてお伝えしますので、遺産相続などで非上場会社の少数の株式を保有している方はぜひ参考にしてみてください。
目次
- 1.
少数株主が弁護士に相談するメリット、必要性 -
- 1-1.行使できる少数株主権の内容がわかる
- 1-2.少数株主権の行使を依頼できる
- 1-3.株式の売却交渉を依頼できる
- 1-4.交渉を有利に進められる
- 1-5.ストレスがかからない
- 2.
少数株主が会社を監視する必要性
- 3.
さくら共同法律事務所が取り扱った株主代表訴訟の例
- 4.
少数株主の権利保護はお任せください
1. 少数株主が弁護士に相談するメリット、必要性
少数株主が弁護士に相談すると、以下のようなメリットがあります。
1-1. 行使できる少数株主権の内容がわかる
少数株主には「少数株主権」といわれるさまざまな権利が認められますが、持ち株の比率や株式保有期間によっても行使できる内容が異なります。
どういった状況でどの権利を行使すべきかなどの判断も専門的で、なじみのない方には適切に権利行使するのが難しいでしょう。
弁護士に相談すると、状況に応じて適切な少数株主権の行使方法をアドバイスしてもらえます。自分だけで判断するよりも効果的に権利を行使できるメリットが期待できます。
1-2. 少数株主権の行使を依頼できる
少数株主が権利行使するとき、自分だけではどのように進めればよいかわからない方も多く、手間もかかってしまうでしょう。どのようなシーンで、どんな株主権を行使すれば効果的なのか?まさにハサミは使いようで、使い手の技量によって結果に明確な差でてくるところかと思います。
弁護士には各種の少数株主権の行使も依頼できます。自分で対応する手間や時間を省けて確実に権利行使できるのもメリットといえます。
1-3. 株式の売却交渉を依頼できる
少数株主は、会社や第三者へ株式を売却できます。
ただその前提として、条件交渉をしなければなりません。
自分で交渉すると手間や時間に加えて心理的な負担もかかりますが、弁護士に依頼してしまえば自分で対応しなくてもすみますので貴重な労力と時間の節約になるメリットがあります。なにより心配事への対応を任せられると、気持ちもずいぶん軽くなるでしょうし、本来ご自身がやるべきことに少しは安心して集中できるのではないでしょうか。
1-4. 交渉を有利に進められる
少数株主の方がご自身で株式の売却交渉をすると、どうしても不利になったり話し合いが紛糾して決裂しやすくなったりしてしまうものです。会社とのこれまでの力関係は簡単には変化しないものでしょうし、会社側があえてまともな対応を避け続けた結果、長年膠着状態が続く例も珍しくありません。
その点、専門知識が背景にある弁護士に任せることによって、交渉が有利に展開する余地がでてくるかもしれません。第三者が介入することによって、コミュニケーションに緊張感が生まれます。これまでよりまともな対応が期待できるかもしれませんし、結果として交渉がまとまりやすくなる可能性が拡がるかもしれません。
1-5. ストレスがかからない
会社との関係が良くない場合などには、少数株主が自分で会社に権利行使したり買取交渉を持ちかけたりするのは大変なストレスになるものです。
弁護士に任せてしまえば弁護士が窓口になるので、依頼者が自分で会社と直接やり取りする必要はありません。ストレスも軽減されるメリットもあるでしょう。
2. 少数株主が会社を監視する必要性
近年、日本の中小企業では経営陣や支配株主などが内部留保を優先するあまり、適切な選択をしないまま時代に取り残されるケースが少なくありません。たとえば必要な投資を怠るなどの企業が典型例です。現状維持の後手後手の対応が、未来を先細らせた例は枚挙にいとまがないでしょう。中には廃業を余儀なくされる企業もあります。こういった状況の放置が、日本経済の活力をそいできたのではないかと憂う次第です。
オーナーや支配株主による不適切な判断を是正するためにも、少数株主による経営の監視が重要です。
そのためには弁護士の力を頼る必要があるといえるでしょう。少数株主は株主代表訴訟も起こせるので、会社側に大きなインパクトを与えることも可能です。
確かに株主代表訴訟を起こしても直接的に株主が賠償金を受け取れるわけではありません。しかし「内部留保重視」から「持続可能な投資」へと会社の姿勢を転換させ、適正な配当還元を実施させる効果は期待できます。株主だけではなくステークホルダー全体への還元、結局は会社の持続的な成長、ひいてはよりいっそうの社会貢献につながるきっかけにもなるでしょう。
実は、少数株主の力は決して無視できるほど小さいものではないのです。
3.さくら共同法律事務所が取り扱った株主代表訴訟の例
弊所では少数株主の保護に力を入れて取り組んでいます。
たとえば先日13兆円の支払い命令が出て大きな話題となった「東京電力の株主代表訴訟」も、当事務所の弁護士が取り扱ったものです(東京地裁令和4年7月27日)。
この裁判は、東京電力の福島第一原発の事故を巡って東京電力の元会長ら旧経営陣5人に対して株主が訴訟を起こした株主代表訴訟の事例です。裁判所は株主らによる請求を一部認め、旧経営陣4名に対して連帯して13兆3210億円の賠償金の支払いを命じました。裁判で支払い命令が出た金額としては史上最高額となっており、全国的に大きく報道されたのでご存じの方も多いでしょう。こういった対応も株主代表訴訟を利用しないとできないことです。
なお同判決に対しては会社側と株主側の双方が控訴しており、高裁の判断が待たれるところです。
4. 少数株主の権利保護はお任せください
少数株主による権利行使は、会社の姿勢を正し、ひいては社会全体にインパクトを与える可能性を秘めた行為です。
さくら共同法律事務所には多数の少数株主様からのご相談をお受けしつつ株主代表訴訟のサポートも行ってきた実績があります。株式の権利行使や売却などご希望の株主さまはお気軽にご相談ください。
株式の売却、相続に関することならお気軽にご相談ください。
弊所は非上場株や譲渡制限株の売却ができず苦しんでいる株主へのサポートや、相続税の支払いの為、発行会社へ買取りを打診したが「応じない」「不当に安い価格を提示する」企業への交渉を得意としています。
相談は無料ですのであなたの今のお悩みをまずはお気軽にご相談ください。
この記事の監修者
様々な難事件、大事件への対処を得意としており、強大な敵や困難にも立ち向かい成果を挙げ続けた実績のある「逆襲弁護士」です。